プール雨

幽霊について

脆弱さについて

 『ポリタスTV』で、自殺対策 NPO法人「ライフリンク」代表の清水康之さんがゲストの回を拝見しました。

 COVID-19 の影響下で女性の自殺が増えていること、そのことと相関関係にあると見られるいくつかの事実、そして、どうやって命を守っていくか、その方策について、まとまった解説が聞けてとてもよかったです。

 今、報道では感染症対策と経済対策が対立したものとして扱われ、命か経済か、そのどちらかの選択を迫られているかのような気持ちになることが多く、納得できません。

 清水さんのお話で注目したのもこの点で、清水さんは「まず、命が守られるためには何が必要か」という観点で考えなければならない、「感染防止に全力を尽くしてみんなの命を守る行動をしつつ、それにより追い詰められる命も守っていく」という発想でことに当たらなければいけない、「命か経済かではなく、とにかく命を守る」と強調されていました。

 そしてそのためには、経済的な苦境にあたって、様々な支援があること、それらでもどうにもならないとき、最後には生活保護というセーフティ・ネットが制度としてあること、そういった告知——命を守るためにどんな支援があるかという告知——を政府がもっと広くすべきだといいます。

 このことは、私たちが暮らすこの社会がどういうものかということに関する直接的なメッセージになると思います。

 COVID-19 によって引き起こされることが露わにしているのは、以前から、多くの人が消えたい、死にたいと思っている社会を私たちが生きていたということです。感染症だけでなく、もともとこの社会にあった脆弱さが私たちを追い詰めています。

 政府には、そうじゃないんだと広くメッセージを出してほしいと思います。困っている人に手を差し伸べる様々な制度が、現況でもあるということを広く広く告知してほしいし、そうすることで、みんなで生き抜こう、生き抜いた先でまた、みんなが安心して暮らせる社会を構築していきましょうと表現してほしい。そういった制度の維持と構築に努めている姿を見せてほしいと思います。

 十分に権利を保証されないまま働かざるを得ず、休むこと、態勢をととのえること、やりなおすこと、そうしたことを望めないまま働いている人々がいかに多いか、そして差別的な待遇のなか生きている人々が、どんな暮らしを強いられているか。そうした問題のために、この社会がどれほど脆弱であるかがこの半年で明らかになりました。それぞれが頭の隅で危険信号を感じているんじゃないかと思います。日々目の前のことをやりおおせるのが精一杯で、何かきっかけがあれば、いつどこでだれがどうなっても不思議じゃない。大人がそうであるとき、子どもならなおさら、この社会が生き甲斐のあるの社会だとは思えないでしょう。悪人になるか負けるか、そんな選択肢しかない社会のように見えているのではないでしょうか。

 私にいえるのは、誰も勝てないゲームはやめて、整えようということくらいです。今ある制度を確認して、ととのえて、足りないものはつくって、直して、みんなで生きていこう、天下を取っていいのは猫だけである。

 「天下猫」という言葉を某ブログで見てしまい、思考が止まりました。

 突然ですがおわります。

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ここでおわるのも人として何なので、落葉したためよく見えるようになった鳥さんと月の写真を貼っておわかれいたします