プール雨

幽霊について

『宇宙戦争』を BSプレミアムで見ました

 クレーンの技術者として働くレイは仕事を終え、急いでいた。そこに上長がかけより、4 時間後に職場にもどってくれと頼む。しかしレイは「組合の規則だから」と断り、「薄情者」との声を背中に受けながら足早に立ち去る。家に戻ると離婚した妻とその再婚相手、そして子ども達が待っていた。兄のロビーはレイとは目も合わせず無言で家に入る。妹のレイチェルは眉間に皺を寄せ大きなスーツケースを運ぼうとする。家の中はゴミだらけで快適とは言いがたく、早速息子と喧嘩になったレイは食事の用意もせず寝てしまう。目が覚めるとロビーが無免許でレイの車に乗りどこかに行ってしまったという。驚いて外に出ると不気味な雲が街を覆っていた。

 「人智を越えた生命体」がこのくされ人類を「ねたましげに」監視していたそうで、いよいよ侵略が始まるのでした。ここで「なんで人智を越えた生命体」が手間暇かけて選択的にヒトなんかを攻撃するの? 越えてるんでしょ、人智? とか考える余裕もなく、ぽんぽんぽーんと映画は進んでいくのでした。

 人智を越えた何らかに相対する地球のみなさんはとてもふつう。スーパーヒーローなんて出てこない。最初は何が起こっているかわからず、そしてわからないまま逃げ惑い、恐怖し、絶望と戦います。もう、どっちが前でどっちが後ろかわからない。

 主人公は「たまたまそこにスポットが当たった」風の、ふつうのおじさんです。クレーンの技術者で、クレーン周辺のことに関しては皆から信頼されています。しかし、職場を一歩出ると他にできることは特になく、もちろん人類初の事態に知識もなく、食糧の蓄えさえない。車は息子が早朝、無免許運転で行った先で攻撃に出くわし、そこに置いてきてしまった。

 そんなわけで、特に生活力の高くないおじさんが二人の子どもを連れて盗んだ車で妻のいるところに向かいます。

 この、「生き延びる」という大目標の手前にとりあえず「妻と子どもたちを生きて再会させる」という方向性があることがレイを支えています。

 「人智を越えた生命体」の影響で車が沿道に停まっているなか、一台だけ動くレイの車がすーっと移動していく様は印象的でした(車中はすったもんだ)。 

 終盤、レイたちをかくまってくれた男が、生き残る人間には生き残る理由がある、特徴があるんだという話をするのですが、物語はそうはなっておらず、レイは情報を手に入れるのが遅いときもあれば早いときもあり、判断が功を奏する場合もあれば悲惨なことになることもある。たまたま生き残っていくレイとロビーとレイチェル。そういうところがシビアでおもしろいです。

 2005 年の映画なんですね。まあまあ前の映画だけど、今見ても緊張感に現実味があって、のどかな川を流れる死体の場面や「木が変だわ」のシーンの映像など、はっとします。レイの銃が演じた役割も怖かった。

 好きな台詞は以下の 3 つ。

「ロビー、安全な場所はどこだ!」

「私たち、生きてる?」

「あれはおれたちの足下にうまってた」

 「安全な場所」という言葉が最初に出てくるのはロビーの口から。自分で腕を重ねて安全な場所をつくる、そういうことを妹にさせてやる場面で。そんな子ども達を安全な場所に連れて行こうとしてレイは奮闘するのですが、もう、わけわかんなくなっちゃう。それで「ロビー、安全な場所はどこだ!」って息子に聞いてしまうのでした。この、わけわかんなくなっちゃう感じが痛切でリアルでした。

鎌倉で見た宇宙戦争風の雲

 話は変わるのですが、雨続きで月もなかなか見られない日々ですね。そんななか、こないだ、早朝の月を見ました。

ぼんやりんぬ

それは朝でした

ぴかー

 反対側の空にはもう日が出ていましたが、朝の月もきれいでした。

また月を見たいと思うぬるり鳥

🌍 おわり 🌍