プール雨

幽霊について

久しぶりに映画館に一人で行って

 久しぶりに行ったら色々と変わってた! と書こうとして確認したら前回が 7 月 6 日で、それほど久しぶりでもなかったです。でも前回行ったのはおなじみの名画座で、いわば近所。なじみ深いところです。今回は池袋に新宿と、久々の大都会の映画館で、色々と新しくなっていました。

 記念なので思うまま、感想を箇条書きで。

1. 池袋新文芸座で「薔薇の名前」を見ました
  • 料金体系が複雑になっていました。
  • 以前は始まる前に「携帯電話は電源からお切りください。電源の切り方がわからない方は受付カウンターにおもちください」というアナウンスが入っていましたが、「電源の切り方」云々の部分はなくなっていました。時の流れを感じました。
  • 薔薇の名前」、14世紀、北イタリア、修道院、富と知識の蓄積と占有、信仰と恐れと支配。しかしその前に立つバスカヴィルのウィリアム(ショーン・コネリー)のたたずまいの現代的なこと! 今見ても輝いている。
  • 冒頭近くの「親愛なるアドソ、初歩的なことだよ」。ウィリアムが私たちを誘惑しているかのようです。
  • 「笑い」が個を支えることもあれば、支配を支えることもある。個を支える「笑い」を。
2. TOHOシネマズで「バービー」を見ました。
  • チケットを紙出力せずに初めて入場しました。
  • 半券がない。
  • TOHOシネマズの CM 司会者が知らない人になっていました。
  • 久しぶりに「椅子がいい」を味わいました。座ったときにうなりそうになりました。
  • 久しぶりに延々続く CM、予告を見て、一度電源を落とした携帯電話の電源を入れそうになりました。ひどいなあ。
  • 「感動の実話」は予告の禁句にしたらいいんじゃないかと思いました。「これほんとにあったことなんですよ〜」が感動の担保になるってなさけなくないか。
  • 「バービー」は構えていたよりも、かなりしっかりおもしろかったです。見る人を脅したり、責めたりはしていないと思う。
  • 「うーん、でもそれって……」と違和感を感じるやいなや、作中で登場人物がそれを口にする。バービー、どんどん批判され、どんどん反省する。
  • 涙というモチーフはいいと思いました。
  • パートナーがいないと不安な中年(若い人ではなく)に対するエールになっている。
  • そういうことは女に聞くんじゃなく、男の人同士で話し合って、ケアしあってほしいんだよね、もしくはしっかり孤独になってほしいなってことが映像化されていて、たいへん滑稽で、たいへん痛切でよかった。
  • みんなほんとは孤独なんだと思うんだけど、成長過程で不可解な制度に組み込まれていって、「自分はマジョリティでふつう」ってところに落ち着く。そのとき、自分では納得してそうなることを選択したつもりでいても、実は選択肢なんかないも同然だから(「洗脳か変人か」)、当人が自覚していないところで不安にとらわれる。不満も怨みもたまる。定型に落ちそうになったところで「なんかちがうな」と思ったらやりなおすのが大事。
  • この映画に至るまでの長い道のりを振り返りたくなりました。