ちょっと早い誕生日プレゼントが届きました。
高橋幸宏は何枚かベスト盤があるのですけど、これは "EMI YEARS 1988-2013" の名の通り、『EGO』から『Life Anew』までのアルバムから鈴木慶一厳選の 36 曲が収められています。
大抵の人が YouTube や Spotify を通じて音楽を聞くようになってしまった今では、ベスト盤 CD なんてファンアイテムとしての意味しかないようで、こうして発売されること自体、ちょっと寂しいです。
もともとベスト盤ってあまり好きじゃないですし。
寂しいなあとばかり思っているところにしかし、いざ届いてみると、このそっけないタイトルの作品がなんと、選曲、曲順、音質、全体のデザインとすべてに愛情がこもっていて、とてもすてきなものなのでした。
こんなに愛せるベスト盤は初めてです。
まず、ジャケットがきれい。そして、この歌詞カード、ぱかっとひらくと最初に鈴木慶一からの手紙のような美しい文章があって、そこでまずひと泣き。全体の解説、各曲の解説、そして歌詞、最後のスタッフクレジットまですべての文字が愛おしいです。
曲順でうれしいのは、ちゃんとオープニングとエピローグがあること。最初と最後があって、ちゃんとひとつの作品として終わってくれること。
その中でまた出会い直していけると思うとうれしいです。
今日のところはこの曲が、今までと全然違う曲に聞こえています。曲順マジック。
曲は四季派直系とでも呼ぶべき抒情と享楽性で溢れていて、寂しく、楽しい。しょっちゅう死ぬ練習をしている。中原中也の「ホラホラ、これが僕の骨だ、/生きてゐた時の苦労にみちた/あのけがらはしい肉を破つて、/しらじらと雨に洗はれ、/ヌックと出た、骨の
寂しいなあ。
ではみなさん、 喜び過ぎず悲しみ過ぎず、
テムポ正しく、握手をしませう。つまり、我等に欠けてるものは、
実直なんぞと、心得まして。ハイ、ではみなさん、ハイ、御一緒に――
テムポ正しく、握手をしませう。 (中原中也「春日狂想」より)
📚 おしまい 🎶