こないだ、ふっと「具合がたいへんに悪い」と告白したら、「ほらほら、かわいいぬいぐるみを見て」「すこしあまくてあったかいものを飲んで」「猫ちゃんの背中をなでなでしたときのことを思い出して」「とりあえず寝て」とたいへんな勢いで甘やかされました。そして、何と言うことでしょう、昼には黄色くてふわふわしたものを食べていたのです。
渋谷に「フクラス」という施設ができたというので、友人といっしょにそこへ向かいました。行って見るとそれは東急だったのです。渋谷、地下は延々続く再開発の結果、ここはどこ? いまはいつ? という感じになっています。一方地上は……。
地上はまだまだ普請中。でも、今ここで終わるのも一興じゃないかと思うほど、東急の存在感が匂い立つようでした。
1 月はこのように、衝撃に続く衝撃で「うああああん!!」と咆吼しては甘やかされるという、大人とは思えない事態になりはてました。
〜発表! 私を甘やかしたものたち〜
1. 白湯レモン
今、私と友人二人の間でだけ盛り上がっている白湯レモン。友人は「今レモンないから冷凍庫のゆずで」といい、私は「レモンもゆずもないからシークワーサージュースをお湯でうめる」といいながらスタートした白湯にレモン生活。それだけですが、朝、これを飲む時間を取ると『薔薇の名前』のときのクリスチャン・スレーターのような生命力を得られるという噂(を私がせっせと立てようとしている)。おそらくは、白湯をゆっくり飲む時間を朝取れたらそれだけで何かが変わる……そういうことなのでしょう。まあでも、朝は大体「うああああ」とか「うおおおお」とか吠えてますからネ。寒いし眠いし。それを白湯レモンで押さえ込むだけで違うでしょう。血圧とか。
2. 109シネマズプレミアム新宿のおみやげ
飲み物が供されるときについてくるおしぼりがあまりに立派だったのでびっくりして持って帰ってきた。二、三日眺めたあと、そこら辺を拭きました。
3. 施川ユウキ『バーナード嬢曰く』⑺
高校生が図書室で本を読んでいるだけの漫画ですが、巻を追うごとにおもしろさが増しています。いじわるじゃない、フレネミー的なものとは無縁の、真剣で楽しい話し合い。最新巻、読み応えありました。
それで最新巻に上記のような台詞がありまして、「あ、この子達の Hercule Poirot って、エルキュール・ポワロなんだな。じゃあ、読んでるのは創元推理文庫版なんだ」って思ったんです。で、この後を読み進めると、ハヤカワ文庫の表紙の話になって、そのときはちゃんと「ポアロ」なんですよ。いいかげんじゃない。ちゃんとしてる。
4. 東伏見でプリンスアイスワールドショー
COVID-19 のせいで前回は行けなかったプリンスアイスワールドショー。ほんの数年ごぶさたしている間にプリンスアイスワールドチームが大幅にレベルアップしてました。どうしてそういうことが可能なのでしょう。すっごく楽しかったあ。
昔、浅田真央がゲストに呼ばれていた頃はそれこそゲスト目当てで見に行って、ゲスト以外の群舞のことろはちょっとそれほど魅力を感じていなかったのです。あぶなっかしいというか。単発ですてきなプログラムはあっても(自然音のプログラムなんかはすてきでした。今でも覚えてます)、全体として流れがなくて、スタースケーター頼りだったのです。
それが、全体としてもまとまりがある、ひとつひとつ見応えがある、群舞よし、少人数よし、ソロでもよしと大充実。おまけにそこに組み込まれるゲストスケーターのプログラムも浮かない。
よかったわ〜。次の演目も楽しみです。
5. ドラマ『デッドロック』
タスマニア州デッドロックで起きた連続殺人事件。主人公は街の人全員というか、街そのものなんだけど、焦点が当たっているのは捜査に当たる二人組。ダーウィンから派遣された刑事、エディーはとにかく無茶苦茶。字は汚い、捜査手法はでたらめ、推理はあてずっぽう。三話までは「この人、捜査妨害してる。もしかして犯人かナ」と思うレベル。彼女と組むのはほとんどにこりもとしない、第一話から疲れ果ててるダルシー。彼女はレズビアンなんですけど、妻とうまく行っていなくて、くたびれているんです。この、なにかから逃げていて慌てているけどじつはぼーっとしているエディーと疲労の蓄積でぐったりしているダルシー、つまりごくふつうの中年女性二人が全然嚙み合わない。嚙み合わないのはしょうがないです。二人には事情と疲労がありますから。二人を支えるのは部下のアビー。指示された調査を確実にこなすだけでなく、そこから堅実な推理を積み重ね、捜査を前進させる。彼ぴは検視官のジェームズ。こいつが「ベイビー」と彼女を呼んで子ども扱いし、アビーの推理を聞くと「君は疲れてるんだよ」「君は今おかしくなっている」の一点張り。そのためアビーは「自分がおかしいのかな」と上司に相談せず、ある実験を敢行し、発生した毒を吸って病院にかつぎこまれます。その彼女にダルシーが「あなたは何もおかしくない。その推理は正しい」と言う場面はさりげなくも、心があたたまりました。
この三人の女性のぎくしゃくした協働が徐々にスムーズになっていくところが楽しいです。ひとつの街を舞台にして、新しい町長の政策に感銘を受けてやってきた移住組と元からいた人たちとの対立あり、その元からいた人たちの先住民に対する権利侵害あり、男性たちの暴力問題あり、抵抗に対するバックラッシュあり、と回を追うごとに街はしっちゃかめっちゃか。そのしっちゃかめっちゃかな中をそもそもぐったりしていたエディーとダルシーはがんばりました。すっごくがんばった! 「私たちは間違えた」を連発しながら、最後には「いいや、あたしたちは間違えてない」というところにたどりつく。
すばらしいドラマでした。おすすめです!
6. 古川日出夫訳『平家物語』
楽しんで読んでいます。全四巻のうち、二巻まで読み終えました。二巻の途中で平清盛退場、入れ替わりで源頼朝や木曽義仲が出てきました。清盛と頼朝、頼朝と義仲とで文体が違うのです。むっはー。疑り深い頼朝。さすが、さすがということろに疑いをかける。だから、清盛退場で、もう平家の命運はつきたということころなんですけど、まだまだ話はこれからのようです。義経なんかは名前が出てきただけですし。すべてはこれから。
ところで、二巻の終わり頃、風呂で読んでいて、つるっと湯船に落としました。そのとき私、少しも慌てず、とりあえずさいごまで読み、ビニール袋に入れて冷凍庫へ。水分を飛ばすため。一晩待ち、袋から取り出し重石をして、今、もとに戻ることを祈っているところです。
がんばれ、『平家物語 2』!
🎍ちぇりおです〜 👹