プール雨

幽霊について

ざべす辺境伯国建国記念伊香保散歩 ⑴

 近隣諸国のみなさまモーニン、モーニン!

 日曜日じゃなくて?

 日曜日ですわ!

ざべすよ!

 ざべす辺境伯国より、日曜日のお知らせをいたしますわ。

 みなさま今日はどうなさるの?

 実はざべすこないだ旅行に行ったので、今日はおとなしくしてるの。

 私ども、ざべす辺境伯国は今般建国記念日を迎えまして、それを記念して特急に乗って温泉に行って飲めや歌えやの大騒ぎをしてきたのです。

ここから旅行が始まります!

 今回の旅の目的地は

ばばーん!

G・U・M・M・A、GUMMA! んーーーーーーーまっ!

とりあえずビール

名物

 まずは水沢というところに行って、名物のうどんをいただくことにしました。お店はひろびろ〜としていて、その、ひろびろ〜としたうどん屋さんが軒を連ねているのでざべすは驚きました。

うどん、来ました

 ちるちるしていて、すべすべしていて、とってもおいしかったです。

 このうどん屋さんのすぐそばに水沢観音さんがおられると聞きましたので、伺ってみることにしました。

「ここで手を洗え」と言われました

亀仙人

 この、水をべろーと出しているのは亀趺(きふ)だそうです。台が亀の形になっていて、その上に何らかの像やお墓などがでーんと乗っているこのスタイルは、中国によく見られるもので、日本には江戸時代くらいから見られるそうです。舶来スタイルとして流行したのでしょうか。

 では、手も洗ったことですし、

たのもー!

 この階段の下に来たとき、雨子が「これはまずいことになった」と言ったのをざべすは聞き逃しませんでした。

これくらい、駆けあがってほしいです

 のぼったら、

ひろびろ〜

キティせんぱい

かえる

かえる

いろんな生きものがいました。亀、キティさん、かえるに囲まれて、みなさんお願いをしていました。ざべすは信仰しているものがないので、なにもお願いしませんでした。雨子は世間体を気にして、とりあえずお礼のポーズだけして、「どうも、ここはいいところですね」と神的な存在に話しかけてみたそうです。かえりごとはなにもなかったそうです。

 ここからバスに乗って、ついにやって参りました。

ばばーん!

 I・K・A・H・O! IKAHO! 伊香保温泉です!

うわあ

 長〜い斜面に長〜い階段。その両脇にお店やお宿がぎゅうぎゅうと並んでいます。すっごく楽しい見た目です。この階段をのぼって振り返ると、

わあ

いい眺めです。山脈と書いてやまなみと読みたい気持ちです。

 たったったと登っては振り返るを繰り返したらとっても楽しかったです。

 でも雨子はこの階段の下に立ったとき、

きれいです

「これはまずいことになったのだ」と言いました。

 雨子にはぜひとも脚力を鍛えて、これくらいの階段、軽やかに駆けたり、急に止まったり、あはは、あははと笑いながら楽しんでほしいです。ざべすからのお願い。

路地

あひるがつまったゴミステーション

なぜ

 あんまり雨子がぜーはーぜーはー言うものだから、ざべすたちはカフェに寄ることにしました。

楽水楽山さんです

 徳冨蘆花さんが定宿にしていた旅館でやっているカフェで、このお名前は孔子さんの「知恵のある者は水を楽しみ、思いやりのある者は山を楽しむ」という言葉からきているそうです。知恵のある人は元気いっぱいで、思いやりのある人は落ち着いているというような意味になるそうです。

 カフェの窓からはきれいなやまなみが見えました。

 ざべすたちはここで、ひととき雨子をおもいやり、山のようにおちついた時間を過ごすことにしました。が、しかし、

おいしかったの

こんなに穏やかなお店でかかっている音楽がずんずんどこどこしたリズムアンドブルーズで、ねっとりしたボーカルとずんずんどこどこを聞きながら、窓からの眺めを見ていると、ざべすはだんだんあやしうこそものぐるおしけれという気持ちになってきて、失言をいっぱいしてしまいそうでした。

 実際、雨子が「わかったわ。こういう、エッジの効いた歌って、歌詞がわからないと切なげっていうより、全部文句言っているように聞こえるのよ。メロディだけでは越えられない壁があるわ……」とか「このお店、音楽がかかってなかったら最高にすてきなのに……」とか言い出して、おもいやりもへったくれもなくなってしまったので、そそくさとお店をあとにしたのです。

 そしてもちろん、この後も伊香保の冒険物語は続きました。

 今日はなんだかおねむになってきたのでここまでにいたします。

 続きは明日か明後日か明明後日!

 じゃあ、みなさん、またね。ちぇりおなのよ。

🗻 つづく ☕