上野の駅から東京都美術館までの、ほんの数分の移動中においしそうなものにつかまってしまう私たち。何かダンスのイベントがあったようなんですが、会場が閉まる直前に通ったので、ただ単にアイス食べてビール飲みました。
ビールで喉をうるおして、いざ美術館へ。人の流れが何となく同じ方向に向かっています。GW は混んだと噂で聞いていたので、もしかしてたいへんな混雑具合になっていたりしてと思ったのですが、そこはさすがに平日の夕方だけあって、大丈夫でした。大丈夫な感じの混み具合。
入場ゲート。かっこいい。ここが大好き。
展示は時系列に沿っていて、工芸美術学校時代の習作から始まり……の、前に猫を抱く機嫌の良さそうな中年男性の写真。グスタフ・クリムトさんです。妙なもので幕を開けるなあと思いつつ歩を進めると、学校時代の肖像画などがいきなりうまく、つい「天才」とひとりごちてしまいます。
工芸美術学校を出た後は弟と知り合いの画家らとともに工房を開設して、劇場の壁画や天井画などを手がけていたようです。こんなに古典的なところから出てきたんだなあと作風に驚きます。
その後、弟が亡くなったのと関係あるのかないのかわかりませんが工房を解散して、で、まあ、色々あったと思うんですけど、こっちから見るとしばらく沈黙した後、いきなり「我々の知ってるクリムト」として登場という感じなのです。ウィーン分離派を結成したあたりの才能の開花しぐあいがまぶしかったです。
でも「ユディトⅠ」(1901)にしろ、「女ともだちⅠ」(1907)にしろ、「オイゲニア・プリマフェージの肖像」(1913 もしくは 1914)にしろ、肌の質感や体のラインは最初からあったあのクリムトの、あの感じで、この人はほんと人間をきれいに描くなあと思いました。
特に、死の床にある方を描いたものが何枚かあるのですが、あんな風に美しく、優しく描くなんて、な〜〜〜としみじみしました。
そして、これらの合間に描いている風景画も良かったです。風景画の展示が全体の中で生きていたように思います。
展示の仕方が穏やかだったせいなのか、クリムトの優しいラインのせいなのか、最後まで穏やかな気持ちで見ることができました。
展示の仕方は穏やかでしたが、グッズは攻めていました。
イベント/図録/グッズ|【公式】クリムト展 ウィーンと日本1900
このリンク先にも素敵なものが紹介されています。でも、ここにないものがすごい。すごいです。クリムトといえば金箔なのはわかりますが、素敵なケース入りの金色の付箋とか、一体どういうタイミングで使えというのでしょう。個人的おすすめは、クリムトが使っていたという赤い、小さなスケッチブックを模したノートブックです。クリムトのスケッチが印刷されていて、とても素敵。ファンならぜひ手元に置きたいものです。
さらに、話題沸騰なのが、展示会の冒頭を飾る、猫を抱く機嫌の良さそうなグスタフ・クリムトさんの精巧なフィギュア。充実の展覧会の最後に見るのがこの猫を抱いたおじさんであるため、印象があの顔になってしまいました。
おすすめです。
私はシールと絵はがきを買いました。シールは気まぐれにあちこちに貼ることができてとても便利です。