プール雨

幽霊について

ヘイトクライムにさらされて

 基幹統計の改竄が話題ですが、こうした組織的な公文書の改竄、隠蔽また破棄を含む違法な状態の継続は、問題となる範囲が広範なだけに悪質だと思います。組織的に違法かつ無法な状態が生じれば、それを正すには大変な労苦が伴います。単純に過去八年分の書類を洗い出し、適正な状態に直す労苦だけでなく、今の今まで違法な状態を維持する業務に就いていた人たちが、トップの顔が変わったとたん、突然「私たちは間違えていました。今から適法に対処します」と気持ちや言動を切り替えられるわけがないという心情の問題もあるからです。

 違法なことを組織的に行わせるのは、ハラスメントの中でも最悪中の最悪で、これに巻き込まれないようにするには実質上その組織から逃げるしかなく、その「逃げる」という道すら見えないほど追い込まれた人々がどうなってしまうか、その残酷な事態をこの数年、繰り返し見てきました。

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 安倍政権下で驚くような、違法なこと、無法なことが次々と行われたわけですが、もちろんそれは自民、公明、維新等の政治家たちだけで行ったわけではなく、各省庁、司法、報道等を通じてあまねく実行されたわけで、違法行為に手をそめた組織の多さを考えると、もはやこの社会は「すみずみまで壊れてしまった」と評価するのが適切だといえるかもしれません。「社会がなくなった」とすらいえるかもしれません。

 弟がネトウヨなのですが、彼と顔を合わせる度に「こいつ、調子に乗っているな」と思います。彼は今、政府によってその差別意識、偏見が承認されたという確信があって、差別的な言動を元気いっぱい行っているのだと思います。これがたとえば首相の名前が変わったくらいで引っ込められるかというと、もう引っ込みがつかないでしょう。少なくとも過去十年近くにわたって行ってきた自分自身の差別的言動の実績がありますから。それを今更「間違っていた」といえるわけがない。

 国粋主義者たちは今日も元気いっぱいヘイトをまき散らしていますが、日本政府が彼ら彼女らに対して「それはこの社会を危うくする犯罪的な行為である」といったメッセージを送ることはないでしょう。むしろ、コメントを出さないことにより実質的に承認しているのです。

 家族に国粋主義者がいる人、そしてその暴力に長年さらされつづけている人なら体感的にわかると思います。この国は父親の DV にさらされつづける一つの家族のようなものです。

 「美しい国」はほぼ完成しています。

 アジア太平洋戦争の後、多くの作家が「オヤジ、いいかげんにしてくれ!」と叫んだものの、「オヤジ」はいいかげんにしてくれませんでした。

 そこからどうやって逸脱してやるか。

 とりあえず、プチ亡命のすすめ、といきますか。