家で『COP CAR』を見ました。
草原を歩きながら、いわゆる four-letter word を次々と口にする少年二人。見渡す限りの草原、風のわたる音と、虫や鳥の声、牛。広大な農場と、林。ふと見るとパトカーが。自分たちの捜索だと思い込んだ子どもたちは、最初は物陰に身を潜めるが、そこに警官がいないとわかり徐々に近づいていく。なんと、運転席が開いている。すいよせられるように乗ってみると、感じたことのない解放感がめぐってくるのだった。ふと見ると、鍵もある。
というわけで、主人公の子どもたちはほんとに小さな子どもで、冒頭から、二人でいることによって後に引けなくなって家出に至ってしまったのだろうな、という辺りが想像できる。それぞれに屈託を抱えた彼らがひたすら広大な草原地帯を歩く姿が頼りなく、切ない。
パトカーを発見して、運転しだす(二人とも、マリオカートを運転したことがあるからと言い合い、うなずき合う)辺りのヒヤヒヤも、中盤を過ぎて後部座席に銃を見つけたときの「やめてーーーー!!!」と叫び出したいような展開に比べれば牧歌的だった。
最初の卑猥語からスタートして、車、銃と、大人の道具を手にして強くなったような気がしていた彼らの前に登場するのは、ほんとうの悪人なのでした。悪人は最初は少年たちに猫なで声で「金をやるぞ」「女の裸が見たいか」などと話しかけ懐柔しようとします。彼らは金や女なんか別に視野に入っていなかったのですが、もちろん懐柔されまして、大変なことに。
登場するのは、基本的に家出少年が二人、悪人二人、ふつうの大人一人(もう一人、ふつうの大人で、声のみ出演の人物がいます)だけ。後は虫と鳥と牛と犬。
風がからからと風車をまわす音がひびく、偶然通りかかるような人も望めないようなだだっぴろい密室で、それは起こるのでした。
最初はただ、二人で歩き出しただけだったのに、そのときにはその先に何があるか想像もしてはいなくて、ただ二人で逃げ出したかっただけだったのに、ひょんなことからパトカーを手に入れて、銃を手にして、自分の力が拡張されたような気分を味わってしまって、それはあっという間に、避けようもなく起こってしまいます。だからこそ、「家に帰りたい」という声が痛切に響きます。
確かに、「あ、『スパイダーマン』の監督にいいかも、この人」という感じがしました。
子どもがほんとに子どもで、かわいそうでした。
でもその子どもも、ラストはがんばってましたよ。
いい映画でした。おすすめです。
このところ寒いし、感染症は猛威をふるっているし、なかなか「元気出していきましょう」とは言いにくい状況ですが、ちょっとでもあったかくして、体に気をつけておすごしください。
おやすみなさい。
🎦 おしまい🎥