プール雨

幽霊について

ざべすの名画座探訪

あめふり

この花が全部開けば雨がやむという伝説を聞きました

雨上がりを待っているの

わたし、ざべす!

 

 みずからのあるじであるみなさま、ぐっもーにん。ついに日曜日ですわ。

 雨がちな日々ですけれど、みなさまどうされていまして?

 ざべすはお散歩にいそしんでいます。

 このところ、どこに行ってもアジサイが咲いているので楽しいです。

光り輝いています

 ある日、朝日を受けるアジサイの間を歩いて、

輝いているの

たどりつきました。名画座早稲田松竹です。

じゃじゃーん

久しぶりに雨子につれられてここにやってきました。

これを見るのかあ

 豪華二本立てです!

 『ミセス・ハリス、パリへ行く』は、ロンドンでお掃除の仕事をしているハリスさんがパリでドレスを買うお話で、『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』は画家のルイスさんが生涯妻とネコを愛したお話だと聞いて、みんなでいそいそと見に行ったのです。


www.youtube.com


www.youtube.com

 すっごくおもしろかったです。

 二本続けて見たらつかれちゃうかなあと心配していたのですけれど、そんなことなくて、ずっと夢中でした。

 ハリスさんは偶然目にしたすてきなドレスに恋をして、パリに行ってディオールのドレスを買うという夢を抱きます。かなりいろんなことがあってやっとこさ貯めたお金を握りしめてパリにやってきたらストライキ中でゴミだらけ。でも「パリでは労働者が主役さ」という言葉に背中を押されてハリスさんはディオールのお城に乗り込むのです。

 ここんところが「不思議な国のアリス」みたいでざべすとっても気に入りました。ポニーテールの元気いっぱいな人が慌ててお城に入ろうとしたところで転んで何か落としちゃって、ハリスさんは「ねえ、あなた、落としたわよ!」といいながらそのポニーテールさんを追いかけて螺旋階段をぐるうりぐるうりと駆け抜けたの! そしたらそこはお金持ちのみなさんが集うショーの会場でした。

 「ロンドンの家政婦さんがお金を握りしめてドレスを買いにきたわ!」とバックステージでは大騒ぎ。「とても魅力的な人よ!」とモデルさんやスタッフさんたちはきらきらした目で幕の隙間からハリスさんをのぞき見したの。このときのモデルさんたち、スタッフさんたちの気持ちを想像するとざべすは今でもいっぱい、いっぱい涙が出ます。ハリスさんはハリスさんで、幕の向こうから出てくる美しいドレスを身にまとって堂々と歩くモデルさんたちを見て胸がどきどき。きらきらとした目でうっとりと見つめ合い、「ロンドンの家政婦さん」とディオールで働くみなさんはすてきな時間をすごしたの。

 この後起こったことも、みんなみんな、くわしくお話ししたいくらい、おもしろかったあ。

 ハリスさんは言いました。ディオールは夢のお城だけど、そこで働いている人たちは毎日大変で、不安を抱えているのねって。それはまるで、映画のことみたいだなと思いました。映画は夢のお城。でもそれをつくっているのはごくふつうの労働者のみなさんなのです。なんでもそうですね。喫茶店で出てくるのは夢のオムライス。本屋さんで手に取るのは夢の本。お菓子の箱にも完璧さや夢が詰まっています。みんな、働くひとがつくったものです。

 そんなわけで労働者であるハリスさんとナターシャさんはじめ、ディオールで働く人たちは手に手をとって励まし合ったのです。

 かたや、『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』はすっごく苦い、辛いお話で、みんなでうおう、うおうと泣いてしまいました。ルイスさんは 19 世紀のイギリスで、ウェイン家をしょって立つただ一人の男子で、とにかく働かなくっちゃいけません。下には妹がたくさんいるのですから。

 でも、これがそんな、男子だけが稼ぎ、富を蓄積できる家父長制社会でなければ、きっとルイスさんの妹さんたちだって手に手を取って働いて、ばかみたいな贅沢はできないけど、穏やかで楽しくて大騒ぎな日々を送れたはずなのです。それができないのがざべすは悔しいです。

 ルイスさんは空気のなかを流れ、細胞のなかを流れ、それを輝かせる電気のことを考えていました。そして動物が好き。人間は描かない。動物はすっごくはやく、上手に描ける。彼はきらめきを探す人です。そしてきらめき、見つけました。でもきらめきは存在ではなく現象なのですぐどっか行っちゃいます。

 ざべすは、みんなが行きたいところに行って、見たいものを見て、知りたいことを知って、そうして生きていくのがいいと思います。なにか決まった箱のようなものに人を合わせると、なかにはどうしてもそれじゃ生きていけなくて、具合が悪くなる人も出ると思います。箱のようなものに収まっていられる人だって、がまんして収まってます。みんな不幸です。そうじゃなくて、人と人がいて、生きていて、結果として何か「社会」のようなものができるのがほんとうなんじゃないでしょうか。

 映画館の外に出たら、世の中がきらっきらしていました。それでざべすたちははきはきと歩いておうちに帰ったのです。

 帰ったら、雨夫が買ってきたすてきなものがありました。おみやげはとってもおいしいエクレアをプリンでした!

おいしかったの

 晩ごはんは早稲田松竹の向かいにある、かわいいサンドウィッチのお店「洪瑞珍 (ホンレイゼン)⁡ 」で買ってきたサンドウィッチです。

かわいかったの

 ハムとチーズのも、ぱくって食べたら甘くて、みんなで「わあ!」って声に出して驚きながら食べました。おもしろかったです。

 今日は雨ふりなので、おうちのなかで、ざべすなにしようかなあ。

 みなさんはどうなさるの?

 また来週会いましょう。

🎥 ちぇりおですわ ✨