プール雨

幽霊について

疲労と午後ロー

 7月あたりから「休憩時間」はあっても「休日(仕事の心配をしなくていい日)」がないという状態が続きました。

 家で一人で働いていますので、「つかれた」と言っても一人、「もう無理」と言っても一人、「これは無理なんじゃないかな」と言っても一人なのです。

 そして、もういかんともしがたく頭の動かない日というものがあるもので、そんな日、私は「もう……もう……もう、午後ロー見るか!!」とすべてを投げ出して午後ローを見ます。ずっと「つらい」「むり」「できない」と言っているだけの二時間よりは、午後ロー見てジャパネット(無神経に展開するCM)に文句言ってる方がマシです。

 それではこの一カ月というもの、私が休めない腹いせに見ていた午後ローを披露いたします。

  8/6(金)は『目撃』を見ていました。大泥棒で、ちょくちょく逮捕されてもいるクリント・イーストウッドが忍び込んだ大邸宅になぜか女連れでやってきた大統領。あわてて隠れたイーストウッドは大統領が女を殺害するところを目撃してしまう。大統領の側近は隠蔽のためこの目撃者を探すのだが……というお話で、全体にほんわかしていました。ほんわかしていたのは状況から私の頭の方であった可能性も捨てきれないのですが、クリント・イーストウッドの娘がローラ・リニーで、私はこの人が好きなんだなあ。ローラ・リニーが出てくると、豆かんが供されるのを待つ井之頭五郎の顔になってしまうのです。

  ローラ・リニーに捜査協力をあおぐエド・ハリス。このエド・ハリスが後ろ暗いところのない、いい人でねえ。トラスト・ミー的なことをローラ・リニーに言うんですけど、もちろんだまされているのです。偉い人たちに。無力。でも、いい人だからいいわけ。偉い人たちにはそれがわからないのですね。

 というわけで、見ていてちょっぴりぼんやりしてしまう映画だったんですけど、「死にかけている私にイーストウッドがしてくれたホラ話」と思うと趣深いです。

  ワクチン接種した影響で休まざるをえませんでした。どうせ休むならとわざわざ録画しといた『ディープ・ブルー』を見ました。

 サメの研究でヒトの脳細胞の活性化を目指す研究者が法律も人権も無視して暴走したため、えらいことになりました。サメちゃんは悪くないんですよ、いつだって。悪いのは人権意識と遵法意識の低い研究者なのです。

 見どころは海上の謎の研究所。いい感じにおんぼろでよかったです。あと、サミュエル・L・ジャクソンが「貴様ら!! 助かる気があるのか!! 命は大切だよ!!」と演説するシーンがあって、かなりびっくりしました。

 お話は図式的で、悪いのは女と知識がある者で、助かるのは自然に近い者と神に近い者の二人だけ。そっかあ、と思いました。

 こういうのも、そんな枠組みは「かっこ」にくくって棚上げして、お楽しみポイントみたいなのを探そうと思えば探せるんでしょうけど、なんせワクチン接種の後だったし、脳の奥がじーんとしてたから。

  子どもが親を選ぶ話。マチルダは才覚で理想の親を探し出し、養子になることに成功します。一方その理想の親=ミス・ハニーは孤児で、叔母に家も財産も奪われ、叔母が経営する学校で働かされています。この、ミス・ハニーが家を取り戻す物語とマチルダが親を手に入れる物語がからみあって、どっとはらい♪ になるところ、叔母=校長先生の物語というのもあって、この人がなんだか知らないけど軍国主義大好きで、一人でナチスのものまねみたいなのをしているのです。「並べ—!」と子ども達に命令し、髪型が気に食わないと言っては投げ飛ばす。その恐怖政治は単にフィジカルに怖いだけで子ども達を精神的に支配するには至っていません。子ども達は校長先生がいないところでは実に生き生きとしています。担任のミス・ハニーもいい人だし。そんなわけで「ナチスのまねごと」はあまり機能してはいない。校長先生単独の行為だからです。組織化されていない。だからいいというわけではないんですが、恐怖政治を敷いているというよりは、単に子どもが嫌いだという風に見える。子どもが嫌いなら学校の現場になんか立たず、現場は先生たちに任せればいいのにとか思いました。

 校長先生を子ども達がふくろだたきにする描写はよしてほしかったです。校長先生とマチルダの親は内面がない人として描写されていて、ニンゲンではないかのようなので、そういうものとして「かっこ」にくくって見るのがマナーかもしれませんが、もう、やってもやっても終わらない仕事に嫌気がさしているので気を遣うことができませんでした。

 そして、昨日、ついにほんとうの休日を迎えました。

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久しぶりの休みでうるむ私の目を写真で表現

 外はもう秋?

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秋かもしれない

 どっこいまだあじさいが残っている。

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ふんばる

 はあ。すっかり疲れも取れて、はっきりした頭で『キス・オブ・ザ・ドラゴン』@午後ローを見ました。中国の警察からフランスの警察と協力するために派遣されたすごうで捜査官ジェット・リー。おとなしそうな、小柄なこの男をなめていた悪徳警官はジェット・リーを罠にはめて殺人の濡れ衣を着せようとします。この映画、悪徳警官たちが「悪い奴だじょ〜〜」という感じの、「べろべろばー」感すさまじく、そこでふっと映画を観る気力が削がれるのですが、ジェット・リーブリジット・フォンダが出てくるとハードさが増し、甘酸っぱくもあり、全体として「セーフ」という感じです。ハード&スウィートでした。

 ありがとう、午後ロー。午後ローがなければ正気を保てていないでしょう。

 

🎦 おしまい🎥