プール雨

幽霊について

ざべすは『枯れ葉』と『ゴーストワールド』の二本立てに行きました

マグカップの持ち手から顔を出す赤いくま

お城が見える

 自分だけのあるじであるみなさま、おはよう!

ざべすよ!

季節のお祝いをいただきましたわ

 ざべすこないだ、雨子といっしょに映画に行きました。

この道は映画館に続く道です

 見たのは、『枯れ葉』(2023 アキ・カウリスマキ)です。

入場します!

 ホラッパさんは、なにかする前にお酒をぐいっと飲まないと、なにもできない人です。仕事前にぐいっ、これから遊びに行くぞと言われてぐいっ。ひとくちでいいのですけど、飲まないと前に進めません。

 一方、アンサさんは黙々と働いています。仕事はスーパーのスタッフです。夜、仕事が終わってラジオをつけると、ロシア軍がウクライナを攻撃しているとニュースが言います。アンサさんはそれをしばらく聞いて、音楽の局を探します。消費期限切れでもらってきたお惣菜をレンジでチンしました。アンサさんはそれが食べられず、結局捨てました。

 そんな風にして、お話は始まりました。ホラッパさんとアンサさんの話はなかなか混じり合いませんが、ある夜、カラオケで二人は会いました。カラオケといってもカラオケボックスじゃなく、ステージがあって、照明がたかれていて、歌うときは司会者さんが「次は○○さん、曲は○○です」と紹介して、みんなで歌を聴いて終わったら拍手するのです。ホラッパさんの友だちが「歌う勇気はあるか」と聞き、ホラッパさんが「ある」と答えたので、歌うのかなと思ったら、ホラッパさんは歌わないのだそうです。声がよくないのだから、とホラッパさんは言います。ホラッパさんのおともだちは、「俺の美声を聞け」と言ってステージに立ちました。その歌をアンサさんとアンサさんのお友達が聞いていました。ホラッパさんはアンサさんのことを好きになってしまったようでした。でも、話しかけることができず、物陰に隠れて煙草を吸うのでした。

 ざべすは、アンサさんがスーパーの仕事を解雇になったとき、同僚の方がアンサさんをかばって、「自分だって同じことしてる」と言って、一緒に解雇されて、そして手をつないで笑ってスーパーから出て行く姿がうんと好きでした。

 また、アンサさんが次の職場で行き場のない犬を見つけて、その子をもらっていいかと同僚の方に尋ねたら、同僚の方が「いいよ。うちじゃ、六匹犬を飼ってるんだ。妻と子もいるしな」と言ったのも好きでした。犬が好きだから、ついつい犬のめんどうをみてしまって、でも、もうおうちに六匹もいるからどうしたらいいかわからなくて困っているというのは、とても説得力のあることでした。

 そんな風に「うんと好きだな」と思う場面が重なって、ホラッパさんがお酒なしで生きていこうと決心して、そう決心したときにはもう相当いろんなものを失っていたのですけど、でもそう決心して、そのおかげで友だちは失わずに済んで、よかったなと思います。

 すっごくおもしろい映画でした。

 そして、その映画を見たあと、ざべすは雨子と一緒にいそいでホットドッグをわっしわっしと食べました。次の映画までに二十分しかなかったからです。わっしわっしもぐもぐもぐもぐわっしわっしもぐもぐもぐと食べて、手を洗って、もう一度同じお部屋に向かいました。

再入場します!

 『ゴーストワールド』(2001 テリー・ツワイゴフ)です。

 イーニドとレベッカは今日、高校の卒業式でした。高校生活には二人ともうんざりしていました。高校生活だけじゃありません、この街にも、この現実にも全部全部うんざりしています。でも、いつも一人でいる同級生を明日からは見られなくなると思うと、なんだか寂しい気がするのでした。

 イーニドは、ひとりぼっちで、まわりにはなじむことなくやっていける人を探しています。

 それはきっと、自分に希望をもちたいという願いの表れなのだと思います。

 だって、この世はイヤなもの、きたないもの、酷薄なこと、ずるいこと、あくどいことで溢れていて、とてもじゃないけど、そこにえいやっと飛び込んで行けそうにありません。

 だから、周囲から浮いていて、それでもやっていける人の後をつけるのです。

 お話は、二人が高校を卒業して、レベッカが働き出して、初めて自分の部屋をもち、イーニドが街を出るまでのほんの短い時期に起こったことですが、それはレベッカとイーニドがかたくつないだ手を離すまでの期間です。

 すっごく大変な日々だったけど、二人はそれぞれ別個に勇気を出すに至りました。

 イーニドがひとりの部屋でレコードを聴いて、「この曲がすきだ」と思う、言葉も出ない瞬間が好きでした。イーニドは好きな服を着て、好きな音楽を聞いて、好きなものを集めて、そして好きな言葉で人に語りかけて生き抜いていくと思います。

 ところで、イーニドが問題を起こす美術の授業ですが、あの先生の力不足が大きいと思いました。イーニドは舌先三寸で安易な作品を提出しました。学校にも授業にもむかついていたんだと思います。だから、真剣な作品じゃありません。指導者ならちゃんと、「『よくわからないけど、みんなにそれを考えてほしい』じゃ、無責任でしょう。このポスターを公共の場に掲げたら、差別の煽動になる。差別は人を殺してきたし、今もそれで人が殺されているのよ。差別される人は言葉すら奪われていて、あなたのようによく学びもせず言ったことすら受けとめるような相手はいない。苦しみの中から絞り出した言葉を冷笑され、ばかにされ、矮小化される。そして痛みも苦しさもないことにされる。それが差別です。このポスターを提出したければ、まず、これが作られた経緯およびその後どういう事件を生んだかについてレポートにまとめ、その上で自分の考えを報告すること。内容によっては、そのレポート自体を作品として提出することまでは認めます。そのレポートか別の作品を出さない限りは単位を認めません」と指導するべきでした。イーニドが無責任だったのはもちろん、先生も無責任です。

日陰の山茶花

 雨子といろんなことを話しながらおうちに帰ると、月が出ていました。

ぴかぴかです

 来週はもう、大晦ですね。

 今年もみなさんにお世話になりました。どうぞみなさま、ご自分の身心をたいせつに、自由に快適にお過ごしください。

 2024 年もよろしくお願いいたします。

🌺 ちぇりおですわ 🌷