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 よりによって、国際女性デーである 3 月 8 日、政府は問題を数々指摘されている離婚後共同親権民法改正案を閣議決定し、国会に提出する道筋をつけました。

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 そもそも、日本社会は DV そして性暴力に対する認識が甘く、「しつけ」「教育」の名の下で暴力が許されてしまう傾向があります。この法案を推進している政治家が「耐えられる DV」かどうか精査しなければならないなどと発言し、それがまかり通ってしまうところからも、状況は推して知るべしです。

被害者とされる方々の一方的な意見により、子どもの連れ去りが実行されてしまうことが本当に問題がないのかどうか。公正な中立な観点から、DVの有無とか、本当に耐えられるものか耐えられないものであるかということを判断をする仕組みの一刻も早い確立が必要だ

KNB北日本放送「子どもの共同親権 当事者の声は」でのインタビュー

 暴力をふるわれると、そのこと自体もちろん大問題なのに、その後、自分が何をされたかを自分で証明しなければならず、また、それがなかなか信じてもらえないという問題にさらされます。いじめには「いじめられる側にも問題がある」、痴漢には「冤罪」と付き物のように訴えを退けるのが定型になっている日本語世界では、DV も同じ扱いを受けています。DV には世帯と家父長制の問題が直接からんでくるだけに、よりいっそう、被害はないことにされがちです。上記インタビューにおける「被害者とされる方々」という表現にはそのことが表れています。「とされる」の一言に、「本当に被害者かどうか疑え」という命令が潜んでいます。そして、DV 被害者が子どもとともに逃げることを「連れ去り」と呼び、「DV の有無とか、本当に耐えられるものか耐えられないものであるかということを判断をする」と主張するところから、加害者側によりそった視点で作成された法案だということがわかります。

 この法案は 2023 年 4 月当時は少なくとも「夫婦間に真摯な合意がある場合」のみ、共同親権を認めるとしていたのに、2023 年 6 月に「合意がない場合でも裁判所が共同親権を決定できる」と大幅に要件が拡大されてしまいました。合意がない場合に親権を判断するのは家裁です。家裁に「DVの有無とか、本当に耐えられるものか耐えられないものであるかということを判断をする」義務と権限があることになります。これにほんとうに家裁が耐えられるのでしょうか。

 COVID-19 初期、木曜の夜に「全校休校」の通達が記者会見を通じてなされ、金曜日に学校や保護者、保育園がパニックになったことがありましたが、政府は、自らの政策によって、各現場が普段から人員的にぎりぎりでまわっているということをどうも未だに把握していないようです。おそらくかれらにとっては、事務方など、透明な妖精のようなもので、自分たちがぼさーっとしていても黒子がささっと動いて全部トリートメントするもの、という思い込みがあるのだと思います。でもその事務方の待遇を下げてに下げてきたのは自分たちなわけで、そこに更に負荷をかける政策を打ってどう責任を取るつもりなのでしょうか。

 2018 年のスペインでのゼネスト「女性が止まれば世界は止まる」にならい、日本では「事務が止まれば社会は止まる」とメッセージを出すべきなのかもしれません。

www.bbc.com 日本のジェンダーギャップ指数は主要先進国では最下位で、政府は「政策決定過程に女性の参画を増やすことや、企業における女性の採用・登用の促進、男女間の賃金格差の是正などに取り組む考え」を示しましたが、同じ口で DV が「本当に耐えられるものか耐えられないものであるかということを判断をする」などと言い、家庭内暴力児童虐待を程度問題にすり替え、耐えられる程度は耐えよと命令し、被害者の訴えを無効化しようとしています。

 永住権取り消し法案にしても、この共同親権法案にしても、政府が周知しようとしているのは、「人権」は政府が「許可」ないし「承認」するもので、いつでも政府によって取り上げることができるという思想です。人権というものを根本的に勘違いしている政府が、この社会を壊しています。

 昨日の朝は、このニュースで貧血が起きるほど怒りがわきました。

 そのニュースを読む頃にはもう止んでいたのですが、夜から未明にかけて雪が降っていたようです。

雪を見るざべす

ざべすに見られる雪

 そして、頭に来て外に出たころにはもう晴れていました。

きらきらしていました
【ウィメンズマーチ東京2024】声明

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 今年の国際女性デーにはいくつか大事なメッセージがリリースされていました。特に「ウィメンズマーチ東京」の声明は今日的かつ普遍を目指すもので、今後繰り返し読んでいきたいと思えるものです。

 この世は地獄だなと思います。

 だから元気ださないと。元気でないときは元気な人に任せてじっくり休んで、あったかくして、しっかり食べて、自分を大事にして、元気が出てくるまで待とう。

 「生活ニュースコモンズ」のサイトがついにできましたね。うれしい知らせです。

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 元気出していきましょう。