プール雨

幽霊について

ケネス・ブラナー『名探偵ポワロ ベネチアの亡霊』を見ました

ポアロが巻き込まれる『ハロウィーン・パーティ』は、ある人物の「なぜ、わたしは計画をしてはいけないんでしょう? なぜ、わたしは喜んでいけないんでしょう?」という言葉が印象に残りました。楽しんだり、喜んだりするととたんに頭を抑えつけられる、マー…

i の上のヒトデと欠けた t

今日も日が暮れました (最新豪華船のクルーから客に送られた個人名入りの手紙は)ターコイズブルーの文字色で、iの点は小さなヒトデになっている。(ディアナ・レイバーン『暗殺者たちに口紅を』p.32 より) (舞台初日、劇場前の電光掲示板の)アンソニー…

BSフジで『ハッシュ 沈黙注意報』を見ています

昨日、『風の歌を聴け』を読んで、自分には村上春樹は手に余る、というようなことを書きました。シスジェンダー、ヘテロセクシャル、経済的に裕福な男性の「……かもしれないし、……でないかもしれない」という吐露になど、つきあってられるか、と。 poolame.ha…

風の歌を聴いてる場合でしょうか

今日は気まぐれに村上春樹『風の歌を聴け』を読みました。 新作を読みたくないあまりに、長編第一作を読んで、自分の構えをつくってみようと、そういう試みでした。 冒頭にまず、語り手の書けない、言えない、それが辛い、という吐露があります。自分の視点…

もちろん読んでいますとも、『セクシー田中さん』

おもしろいです。 セクシー田中さん(1) (フラワーコミックスα) 作者:芦原妃名子 小学館 Amazon 漫画好きの方ならもう最新の六巻をお読みだと思うんですけど、私はいつものあれで、今、四巻を読んだところです。 泣いたワ。 倉橋さんは同じ会社で「経理部…

齋藤美奈子『出世と恋愛 近代文学で読む男と女』を読みました

出世と恋愛 近代文学で読む男と女 (講談社現代新書) 作者:斎藤 美奈子 講談社 Amazon 大学では近代日本語日本文学専攻だったのですが、基本的にずっと、そんなにわくわくしたりはしていなくて、「つら……」「苦……」という状態でした。 日本の近代文学は監視・…

2023 年の半分

2023 年を半分すごしましたので、読書記録を公開します。半年分あって漠然としているので、簡単に。 印象に残っていること エルキュール・ポワロのシリーズを最初から最後まで、順番通りに読んでみるというのを合間合間にやっていて、今年ついに『カーテン』…

「意味」の復権

名古屋市復元をめざす名古屋城木造天守のバリアフリー化をめぐり、市が主催した3日の市民討論会の中で、エレベーター(EV)の設置を求める意見を述べた身体障害がある男性に対し、他の参加者から差別発言があった。 (朝日新聞 寺沢知海 2023年6月3日記事「…

5 月 4 日は何記念日?

白鷺が歩いていました。 のっそり のっそり まだ 5 月なのに藻が繁茂しつつある池です。 虫が飛び、鳥が鳴いています 公園はいろいろ整備中。 働く車 なんらかの作業中 いつ行っても完璧な見た目に見える公園ですが、いつも何らかの作業中で、カラーコーンと…

清瀬、所沢散歩

ひとりぶらりごはん (思い出食堂コミックス) 作者:柘植文 少年画報社 Amazon 柘植文『ひとりぶらりごはん』に、比較的近くの街が出ていたので行ってきました。その街の、駅からほど近くにある「コーヒーハウス チロル」という喫茶店で、柘植文は街の老紳士が…

ざべすとぽーちゃんとともだちの話

朝の月ちゃん 朝のラベンダーローズマリー 朝の桜ちゃん みずからのあるじであるみなさま、おはようございます! ざべすよ! ざべす、こないだおもしろい本を読みました。 こちらです。 ブラックサマーの殺人 ワシントン・ポー (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作…

「AMNESTY NEWSLETTER」 Jan.- Feb. 2023 vol. 503 を読みました

特集は「自由権規約委員会の日本審査を振り返る」でした。 「市民的及び政治的権利に関する国際規約」通称「自由権規約」を 1979 年に批准した日本政府ですが、国内人権機関の設置を求める勧告にずっと応じていません。 日本は 1998 年の 4 回目の審査で初め…

2 月 28 日と 3 月 1 日

人には歴史も文脈もあって、それと当人を切り離すのは私にとっては非道なのです。その全部はもちろん、見えないし読めないわけですが、「この人の通ってきた道がある」「この人が置かれている状況というものがある」と想定することは大事だと思います。それ…

日曜日は梅を見に行きました

銀杏 公園の梅がぽちぽちと開き始めました。梅は咲く前のぷっくりした様子もかわいらしいです。 つきのかつら 月影 つきのかつらと月影はほんのり緑がかっていて、同じ系統だと思いますが、つきのかつらの方が姿がまるっこいんですね。 つきのかつらと思われ…

日高屋でハードボイルド

吉本浩二という漫画家をご存じですか。『ブラック・ジャック創作秘話〜手塚治虫の仕事場から〜』で話題になり、その後も話題作を堅実に重ねている人です。私は特に、聴覚障害を粘り強く取材した『淋しいのはアンタだけじゃない』に感銘を受けました。聞こえ…

文庫本一冊読むのに一カ月かかりました

うむ うさこちゃんのカレンダーを使っています。新しくなると古い方は切り刻まれます。 こんなふうに / 切ってどうするの? \ それはね、こういう厚紙は貴重ですから、これこのように。 すぐれものの栞として そして、このうさこ栞のいいところは、本を閉…

喪中のざべす

ぴかぴかに晴れていた日もありました みずからの主であるみなさま、おはようございます。 お元気ですか? みなさまいかがお過ごしですか? こちらでは大おじ様が亡くなって、喪に服しています。とくにざべす専属書記官の雨子が二日ほど動かなくなり、じっと…

鞄の中身

西向きの部屋で寝ていると、この時期の朝はまっくらです。でも月が早朝、西の空にある時はそれを支えに起き上がることができます。 きれいよ〜 月を楽しみにしつつ、年明けやった作業といえば、うさぎジャケットの CD を集めてみたものの、おもいのほか少な…

平野千果子『人種主義の歴史』を読みました

2022 年 12 月 3 日から一カ月以上下書きに放置していた感想文を放出します。 www.iwanami.co.jp 〜未編集の下書き〜 知り合いとごはんを食べてて「韓国料理が好き」って話になったとき、相手が「あっ、韓国は好きじゃないけど、韓国料理が好き」って言い直…

今年読んだ本と今年読まなかった本

まぶしい 今年、やっとこさ読んだ本 シルヴィア・フェデリーチ『キャリバンと魔女 資本主義のに抗する女性の身体』小田原琳・後藤あゆみ訳 塚田穂高編著『徹底検証 日本の右傾化』 読まなきゃいけない、読みたい、だけどいかにもしんどそうで積んでいる本が…

川添愛・花松あゆみ『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」』を読みました

読んで 考えて 読み終えました www.asahipress.com もう働きたくない。そう思ったイタチたちは自分たちの言うことを何でも聞いてくれるロボットをつくって、ロボットたちに働いてもらうことにしました。そのロボットをつくるため研究の旅に出たイタチたちが…

枝分かれする読書

11 月の課題図書 いろいろあった 11 月の実際 西村賢太『雨滴は続く』 ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』中原尚哉・他訳 平野千果子『人種主義の歴史』 米本昌平・松原洋子・橳島次郎・市野川容孝『優生学と人間社会 生命科学の世紀…

『アイドル・スタディーズ 研究のための視点、問い、方法』を読みました

アイドルを研究 もし私が大学生で、『アイドル・スタディーズ』と『ふれる社会学』を読んだら、卒論でアイドル研究を選んじゃうだろうなと思いました。そして、「アイドルがいるこの社会」について勉強しているうちに「家父長制、悪魔の発明」というところに…

雨降り

寒くて腹が痛いです。 私の胃腸は多少腐ったものに対しては強靱で、「飲み会の後、みんなお腹壊したのに自分だけ無事」ということが何度かあったほどです。でも寒いとすぐ痛くなる。さむい、いたい、コーヒー飲めない。 そんなときはナツメ、ハトムギ、小豆…

牧野智和『日常に侵入する自己啓発 生き方・手帳・片付け』を読みました〜ファイナル〜

〜前回までのあらすじ〜 90 年代に大学生だった私はすぐ隣に「カルトの勧誘」と「スピリチュアル」と「自己啓発セミナー」がある生活をしていました。田舎出身で、これら三つの区別がついていなかった私は、そのどれとも距離を取れるように気をつけていまし…

牧野智和『日常に侵入する自己啓発 生き方・手帳・片付け』を読みました

塚田穂高「『宗教の右傾化』はどこにあるのか 現代日本『宗教』の類型的把握から」(塚田穂高編『徹底検証 日本の右傾化』)に宗教社会学者、井門富士夫による日本宗教の四類型が紹介されています。 これは社会における「見えやすさ」と新旧・公私にかかわる…

西村賢太『雨滴は続く』〜愚痴がうまいとはこういうことか〜

雨滴は続く (文春e-book) 作者:西村 賢太 文藝春秋 Amazon 北町貫多は中学卒業後に出奔して以来、日雇いで日々をしのぎつつ家賃を踏み倒したり、母親からなけなしの現金を奪い取ったり、せっかく人生を共にしてくれる女性が現れたのに彼女の大事にしているぬ…

はやりのホロヴィッツはお好きですか?

10 月の課題図書 10 月の実際 松村圭一郎『くらしのアナキズム』 アンソニー・ホロヴィッツ『殺しへのライン』山田蘭訳 アガサ・クリスティ『ポワロの事件簿1』厚木淳訳 アガサ・クリスティ『ポワロの事件簿2』厚木淳訳 山室新一『モダン語の世界へ 流行語で…

私は日記を読むのが好き

blog.hatenablog.com はてなで「はてなブログの日記本」に掲載する日記を募集中です。おもしろそうなのでみなさま、どうぞふるってご参加ください。 私は自分の日記を掘ってみましたが、条件に合う記事が見つかりません。 日記さん、最近どうしてますか? 私…

『アイドルについて葛藤しながら考えてみた』を葛藤しながら読みました

honto.jp ハロオタ人生も長くなりまして、いつも後ろめたさを感じています。青少年保護育成条例的に、労働基準法的に実際問題ダメなことを黙認しているんじゃないか、そしてこの表現自体有害なのではないかという疑いがいつも頭の半分くらいを占めています。…